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ゼラニウム


化粧水の元祖・ハンガリー水  ―ローズマリー―
 「不老長寿」「若返り」・・・・いえば連想されるのはローズマリー。数あるエピソードの中でも有名な”ハンガリー水”にまつわる話がある。14世紀、ハンガリー王妃エリザベートは長い戦争に疲れ果てていた。70歳を超え容姿は衰え、そのうえ痛風にも悩まされていた。そんな王妃があるとき、恋の病にもかかってしまった。美しさを願う王妃はついに、若返りの薬を手に入れた。「ハンガリー水」である。現在の化粧水の元祖となったといわれている。処方は,ブランデーにローズマリーとラベンダーのチンキを3対1で合わせ、これにオレンジの花や数種のハーブを加えたと伝えられた。この出来上がった水薬をパックやマッサージ、入浴に使い、来る日も来る日も使いつづけた結果、通風も治り、若々しい肌と気力と活力を取り戻した。ついにはポーランド国王のプロポーズまで受けたという*おまけ*までついた話である。
盗賊の酢
フランスのトゥールーズでペストが大流行したのが1630年。このとき町じゅうが死体であふれ、多くの感染者が病気に苦しむ中、感染を恐れず町じゅうを歩き回り、盗みをはたらいた4人組の泥棒がいた。やっとのおもいで彼らを捕まえた警察は、緊急時を救うためにその予防法を白状させて罪を許したのである。この4人組は酢にセージ、タイム、ラベンダー、ローズマリーのエキスを混ぜ合わせ全身にぬりつけていたらしい。この話はその後100年たっても受け継がれマルセイユで伝染病が流行したときも、例の酢に今度はニンニクも入れて防いだという話もある。ほとんどの細菌は酢の中で30分以上生きられない。その酢に殺菌力、治癒効果をもったハーブがミックスされたので効果は絶大だった。「盗賊の酢」の話である。
ストローイングハーブ・タイムのロマン
リザベス時代、まだまだ不衛生だったヨーロッパでは、人の集まるところに、消毒力の強いハーブがしばしば撒かれた。ラベンダー、マジョラム、ヒソップ、ウォールジャーマンダー、カモマイル、タイム、ミントなどがよく使われた。教会、祭典、式典など神聖な場所で効果的に演出をした。またシェイクスピアの「真夏の夜の夢」には、妖精の王妃ティティニアが休むタイムのベッドの説明がある。こんな話からも香りと神聖な場所は昔から関係があったといえる。かと思えば、聖アグネス(1月21日)の前夜、タイムとローズマリーを靴に入れ、ベッドの両側においてお祈りをして眠ると、夢で結婚相手に出会えるとか、ロマンチックな面をもちながら、一番の実用品であったこともおもしろい点である。


  

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